名古屋市瑞穂区 かのうクリニック 予防接種について

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小児の感染症

子どもの発熱について

子供の体温

子供は大人と違って平熱は少し高く、37.4℃ぐらいまでは平熱と考えてかまいません。また、体温を二回測ると結構違うことからわかるように、測定誤差もある程度あります。あまり0.5℃以下の体温の変化に一喜一憂していても仕方ありませんので、子供の熱は、下の表のようにおおざっぱに考えるのがよいと思います。

 37.4℃以下  平熱
 37.5〜37.9℃  ちょっとした発熱
 38.0〜38.9℃  明らかな発熱
 39.0℃以上  高熱

子供は運動や外気温にかなり左右されますし、夏と冬とでも体温は違います。冬に、子供が39℃の熱が出たといって、寒い中をお母さんがあわてて連れてくると、病院に着いたときには外の寒さで冷やされて、37℃台になっていたという話はよくあることです。

夏に、子供を炎天下を歩いて予防接種に連れて来たら、着いてすぐ測ったら37.6℃だったけれど、クーラーのきいた待合室で15分ぐらい待っていたら36.8℃に下がってしまったということも、よくある話です。一般的に、活発で元気のよい子供のほうが、おとなしい感じの子供より、多少平均体温が高いような気がします。

子供の体温は、一日の中でも0.5〜0.8℃ぐらい変動します。だいたい朝は低く、夕方になると少し上がるのが普通です。朝は36.8℃だったのに、夕方になったら37.3℃と熱が出てきたとおっしゃるお母さんがよくありますが、自然の成り行きとしてそのくらいが普通だと思います。

熱が高いと、それだけで頭に障害が起きるのではないかと心配するお母さんが時々ありますが、そんなことは絶対にありません。もちろん、髄膜炎とか脳炎などの脳にダメージを与える病気も、確かに高熱が出ます。しかし、40℃台までは単純に熱が出ただけで、脳にダメージが来ることはありません。41℃以上の熱は、発熱単独でも全身に対して悪影響が出てくるのでまずいと思いますが、これは、脳だけでなく全身に対する影響が起こるということなのです。

熱が高いとき何を心配するべきなのでしょう

上にも述べたように、40℃台までは熱が高いだけで、身体に問題となることは起こりません。もちろん、高熱のために水分がとれなくて脱水傾向になってしまうとか、食事がとれないために体の抵抗力が落ちてしまうといったことはあるので、多少熱は下げてやる必要はあります。しかし、薬で熱が下がっても、それは病気が治ったわけでは全然ないし、そもそも熱の高い低いは、必ずしも病気の重症度を表しているとは限りません。

つまり、心配すべきなのは、熱の高い低いではなくて、熱以外にどんな症状があるかということです。単なる風邪で熱が高いだけなら、特に心配する必要はありません。ここでは、熱が高いときに、熱以外にどんな症状があったら心配するべきかを列挙してみました。

● 38.0℃以上の熱が5日以上続く
普通の風邪ならば、熱は3〜4日で下がってきます。普通の風邪でも5日以上熱が続くことはないわけではありませんが、注意が必要です。

● ゼロゼロとたんのからんだ咳をして、ヒューヒューいって息が苦しそう
肺炎とか喘息様気管支炎(主にRSウイルス感染症)になっている可能性があります。たんがからんでいなくても、あまりにもせきがひどいとかヒューヒューいって息が苦しそうにしていたら、やはり心配です。ただし百日咳は、通常熱はでません。

● ぐったりして意識がおかしい、頭痛が激しい、吐く、けいれんを起こす
普通の風邪でも、頭が痛かったり吐いたりすることはありますが、このような症状がそろってきたら、髄膜炎や脳炎など重篤な病気を考えなければいけません。

● 声がかれている、のどでヒューヒューいって息が苦しそうにしている
普通の風邪でも声がかれることはありますが、これは声帯のあたりが腫れてくることによるものです。子供は息をする通路が狭いので、ひどく腫れると呼吸困難になります。このような状態を、仮性クループと呼びます。

● 身体に発疹が出てきた
麻疹、水痘、川崎病、溶連菌感染症、その他いろいろな病気が考えられます。くすりのアレルギーも考えておかなければなりません。

● 下痢、嘔吐がひどい
これは、熱よりも、下痢嘔吐による脱水の方が大きな問題です。

● 6ヶ月以下の乳児で熱が高い
6ヶ月以下の時期は、高熱になることが比較的少ない時期です。ここで高熱が出たら、やはり心配です。

これ以外にも心配しなければいけない状況はいろいろあるとは思いますが、
● ちょっとした鼻水と咳ぐらいで、熱以外にあまり症状がない
● 熱が多少下がったときは、元気に遊んでいる
● 食事や水分が十分にとれている
この三つがすべてあてはまる場合は、あまり心配することはないと思います。

子供の熱の下げかた

子供は、38℃ぐらいまでの熱は平気なことが多いものです。39℃以上の熟がある時は、38℃前後まで下げるのがベストと考えて下さい。高熱がある時に無理やり平熱まで熱を下げるのは、体に負担がかかって、かえって良くない場合もあります。薬で熱を下げても、かぜが治るわけではありません。

5才以下の子供は、熱が高い時には、薄着にきせて体を冷やすと、けっこう熱が下がるものです。熱があるときは、まず表面冷却が基本です。ただし、小学生以上にやると寒くて震えてしまうこともあるので、7才以上は無理な冷やしかたはやめたほうが無難でしょう。

あまり教科書的なことばかり言っていても、お母さんのストレスがたまってしまうので、ある程度の解熱剤は出します。内服の解熱剤は、「3〜4時間はしっかり効いていて、6〜8時間はある程度効いている」ぐらいのもので、坐薬と飲み薬はそれほど大きな差があるわけではありません。また、解熱剤は、坐薬・粉薬・シロップのどれでも、「6時間以上の間隔で1日3回まで」というのが基本的な考え方です。

何度になったら坐薬を入れるかですが、目安は38.5℃ぐらいです。ただ、これは目安であって、38.2度でも元気がなければ坐薬を入れてやればよいし、38.8度でも、元気で走っていれば入れる必要はありません。数字にとらわれずに、見た感じで判断してあげてください。

解熱剤について

解熱剤として最も基本的なものはアセトアミノフェンという薬です。いつか殺人事件でこの薬が使われて問題になりましたが、一般的にはこのくすりが最も副作用が少なく安全な薬です。また、鎮痛解熱剤ですので、頭痛などの痛みにも効果があります。

坐薬(カロナール坐薬、アンヒバ坐薬、アルピニー坐薬など)は、世の中の大部分のものはアセトアミノフェンです。粉薬(ドライシロップ)やシロップ剤も同じで、基本的にアセトアミノフェンという成分の薬を処方します。作っているメーカーはたくさんあり、カロナールとかアニルーメなど、いろいろな商品名のものがあります。

もう少し強い薬として、イブプロフェンというものがあります。ただし、こなぐすり・錠剤だけで、坐薬やシロップはありません。アセトアミノフェンよりも鎮痛作用が強いので、頭痛のひどい小学校中学年以上にはたまに使いますが、低学年以下には使わないようにしています。副作用は、アセトアミノフェンより作用が強力な分だけ多少強いことになってはいますが、比較的安全な方の薬だと考えて良いと思います。

さらに強い解熱剤としてメフェナム酸(ポンタールなど)やジクロフェナク(ボルタレンなど)があります。ただ、副作用が子供には強すぎるので、当クリニックでは、基本的に子供には処方しません。一般的に、普通の小児科医は使わないと思います。

他に、幼児用PL顆粒、LLシロップ、PA錠というような風邪薬もあります。これらは、お母さんが風邪で医者にかかったときにもらってくるPL顆粒というくすりと成分構成はほぼ同じものなのですが、これらには、解熱剤(アセトアミノフェンとサリチルアミド)が少しはいっています。
アセトアミノフェンは問題がないのですが、サリチルアミドは、インフルエンザと水痘には使ってはいけないことになっていますし、ライ症候群という怖い病気と関係があるかもしれないともいわれています。ですから、幼児用PL顆粒やLLシロップは、そもそも子供には不適切と思われます。古い時代の薬であり、当院では使っていません。

アスピリンは、子供には絶対に使ってはいけません。ライ症候群になりやすいと言われています。ただ、ややこしいのは、アスピリンとして最も有名な商品はバファリンですが、小児用バファリンという商品名で売っているものは、中身はアスピリンではなくアセトアミノフェンですので大丈夫です。

熱がある子供の生活上の注意点

5才以下の子供は、熱が高い時には、薄着にきせて体を冷やすと、けっこう熱が下がるものです。熱があるときは、まず表面冷却が基本です。目が届く範囲に寝かせておくのならば、布団はかけずにおいても問題ありません。服をたくさん着せて暖かくするのは、逆効果です。ただし、小学生以上は寒気がするなら、無理なことはしない方がよいでしょう。

熱があるときは、知らないうちに身体から水分が出ていってしまいます。また、熱があるときは、胃腸の働きも多少落ちています。つまり、水分は多めに、カロリーはやや控えめに、というのが基本です。

熱があるときに入浴はなぜいけないのでしょうか。これは、急激な温度変化が身体にストレスを与えるということと、長く湯船に浸かっていると体温が上がってしまうということです。つまり、脱衣室を寒くないようにして、シャワーだけにすれば、ちょっとぐらい熱があっても問題はないということです。。